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FOOD NEWS vol.38 chicoのお菓子な宝物。『エクラデジュール』のリヴェール

FOOD NEWS
  • RESTAURANT _ 犬養裕美子
  • GIFT _ 真野知子
  • SWEETS _ chico
  • NEW STANDARD _ 平野紗季子
vol.38
chicoのお菓子な宝物
『エクラデジュール』のリヴェール
リヴェール1個¥480 ざくざくタルトから、薄いチョコレートをしのばせた柚子クリームがとろり。柔らかなコーヒーガナッシュの曲線もそそる。1/7発売の最新作。
リヴェール1個¥480 ざくざくタルトから、薄いチョコレートをしのばせた柚子クリームがとろり。柔らかなコーヒーガナッシュの曲線もそそる。1/7発売の最新作。
 
くっきりした味わいのまぎれもないフランス菓子ながら、日本人の舌にすっとなじむ。中山洋平シェフが「日本人の味覚にあわせる」と言うのは、銀座『ルエールサンク』時代と変わらないけど、それは生地をフワフワにすることでも、甘さを控えることでもない。フランス菓子らしく味は濃く、けれどとびきり瑞々しくジューシーに。だからいくつもするっと食べられてしまう(罪なほど!)。スペシャリテの「タルトレットミルティーユ」なんてまさにそう。中山シェフの修業先、フランスはサヴォワの名物、山盛りのブルーベリーを焼きこむタルトは、かじると凝縮した果汁がじゅわりと滴り、口いっぱいに果実味がはじけた。素朴なのに、鮮烈な印象でふいに恋しくなってしまう。

「味をストレートに伝えたいから」、中山シェフはシンプルに味を組み合わせる。新作「リヴェール」は柚子とコーヒーのふたつで。たしかにシンプルだけど……これ、喧嘩しない? いただいてみると、まずコーヒーの落ち着いたアロマがふわり。続いて柚子がパッと鮮やかに香りを重ねる。コーヒーと柚子ならではの心地よいビターさをショコラがまったり包み、あとには清々しい柚子の余韻。こんな調和、知らなかった。忘れられないおいしさがここにまたひとつ。

チコ スイーツライター。大人気のガイド本『東京の本当においしいスイーツ探し』(ギャップ・ジャパン)シリーズ監修。
 
エクラデジュール
東京都江東区東陽町4-8-21 TSK第2ビル1F 
☎03・6666・6151 
10:00~20:00 水曜休


写真・清水奈緒 スタイリスト・中根美和子 構成・野村紀沙枝 文・chico