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FOOD NEWS vol.103 平野紗季子のMY STANDARD GOURMET 『山西亭(さんせいてい)』の2莜麺栲栳栳(ヨウミェンカオラオラオ)

FOOD NEWS
  • RESTAURANT _ 犬養裕美子
  • GIFT _ 真野知子
  • SWEETS _ chico
  • NEW STANDARD _ 平野紗季子
vol.103
平野紗季子のMY STANDARD GOURMET
『山西亭(さんせいてい)』の2莜麺栲栳栳(ヨウミェンカオラオラオ)
「莜麺栲栳栳」¥580 『山西亭』は麺好きはもちろんお酢好きにもオススメ! 山西省の料理はお酢を多用する特徴があり、黒酢を効かせた甘酸っぱい料理がずらり。
「莜麺栲栳栳」¥580 『山西亭』は麺好きはもちろんお酢好きにもオススメ! 山西省の料理はお酢を多用する特徴があり、黒酢を効かせた甘酸っぱい料理がずらり。
 

もしあなたが無類の麺好きならば、一度は中国の山間の奥地・山西省へ出向くべきだろう。そこは穀物や小麦粉を中心とした食文化ゆえに麺の種類が100種類!を超え、麺食が異常に発達した土地なのだ。とはいえ実際に調べてみると乗り継ぎ含めなかなか絶望的な距離……でも諦めなくていい! なんと東新宿に山西省出身のご夫婦が開いた中華料理店『山西亭』が存在するからだ(やったーリトル山西!)。

ひとたびメニューを開けば、魚の形の麺、ジャガイモの麺など、こんな麺もあったのか!と感激せずにはいられない澱粉質のサンクチュアリが広がる。とりわけ珍妙で魅惑的なオーラを放つのが、そば粉100%で作る麺「莜麺栲栳栳」。蒸したての蒸籠をあけると、鳥の雛のような?蜂の巣のような?謎の筒状麺の密集が出現。なんだこれはと面食らいつつも、そのむっちりとした密集を箸でほぐして頂けば、独特の弾力と共にそば粉の香りがぶわっと広がる。現地の人々はこの密集を日常食として日毎様々なタレと共に楽しむそうだが、山西亭でのスタンダードは黒酢タレとトマトダレの2種。トマトダレに至ってはイタリアン的な味わいが醸され国籍すら超越する神秘的な美味しさ。このめくるめく麺文化の奥深さ、しっかりお腹を空かせて堪能してほしい。

ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
 
山西亭山西亭
東京都新宿区大久保2-6-10-B1 ☎03・3202・7808 11:00~15:00 、17:30~23:30(23:00LO) 日曜休(予約のみ営業)


写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子