写真家・奥山由之さんの卓越した能力のひとつに、”人を巻き込む力”があると思います。「老成している」と某スタイリストさんが形容したり、「まるでお医者さんみたい」と現場で某エディターさんが呟いたりするくらいに淡々としながらも、実は一番情熱的。許可取りやスケジューリングなど、無邪気にしれっと恐ろしいことを振ってくるのですが、皆、新しい世界を見てみたい、そう思い、紆余曲折ありつつ協力してしまう。今回の特集はまさにその結晶のようなものでした。

表紙となった通称”鳥頭”カット。鳥の大きさはどれくらい、何羽必要か、どんな光がいいのか、背景・髪の毛の色は……。この1カットのための事前打合せは何時間にも及びました。「一体どうやって鳥を自然に頭にとまらせる？」と不安もありつつ、ヘアメイク河村さんが頭に載せる”鳥頭”の土台を事前に制作してくださり、準備は万端。細かな打合せ・準備を経て、「今までの奥山さんの写真と何か違う」と見た人が口を揃えて注目する、鮮やかな”鳥頭”カットが生まれました。

プロの力が結集し、鳥と服とが絶妙に互いを引き立てた、この表紙は今回の特集を象徴する”ファッション写真”ともいえます。もちろん、他の82枚の写真もすべて心血を注いで作られた作品ばかり。どの写真に惹かれるかは、きっと人それぞれ。”鳥”の表紙を目印に、もっと自由に、もっと新しいことを楽しむファッションの可能性を探してみてください。

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