マガジンワールド

ツルッツルでいこう。 From Editors 1 No. 872

From Editors 1

ツルッツルでいこう。

34にもなって、最近ウェットシェービングを始めました。特集を作る中で知った、ドイツの〈ミューレ〉のレイザーとブラシ、イタリアの〈ポロラーソ〉のシェービングソープを購入し、学んだばかりのやり方を頭に、慣れない手つきでソープを泡立て、髭を剃る。正味20分はかかってしまったのですが、ソープの泡立てはお抹茶を点てるような背筋が伸びる感じがして、剃り上がりの肌はツルッツルで気持ちよく、費やす時間とその成果に、とても豊かな気持ちになったのでした。そういえば、ひとつのことに黙々と取り組む禅のような時間って、忙しい日々でなかなか味わえないなと。何事も三日坊主になりがちな僕ですが、少し早起きをしてでもこの習慣はぜひ続けていきたいなと思った次第。

ことほど左様に、豊かな時間を過ごせるのって、大人だと思うんです。きっかけは髭剃りでも、なんでもいいのですが、きちんと準備をして、限りある時間を自分なりに丁寧に過ごす。そんな何かを始めてみると、その周辺のことも気になってくる。そういうことが積み重なっていくことで、気づいたら立派な大人になっているものなのだなと。実際、僕の関心事はもっか、アフターシェーブローション探しと、いいフランネルの布(詳しくは本誌にて)をどこで手に入れるか、と、髭剃りのその先のことに進んでいます。意識することから、大人への道が始まるとは、まさにこのこと。

「いい大人になるには?」ということを考え続けて3ヶ月。編集部のいい大人たちが、こんな大人が理想だね、と知恵を絞って100項目をまとめました。普段着る服の選び方や、長く大事に扱うための術、スーツやタキシードの着方、グルーミングの作法や心得、そして大切にしたい心構えや振る舞いなど、幅広い内容をこまごまとコラム集形式で。なかにはこんなことまで⁉︎ と感じる内容もあるかもしれませんが、これから大人になっていく若い読者はもちろん、もういい年になった先輩方にも、共感をもって読んでいただけたら嬉しいです。

角田貴宏(本誌担当編集)
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インスタグラムで世界の好事家が上げているという#shavedenを、僕なりに作ってみました。ずっしりと重みのあるレイザー、肌当たりがふわふわと気持ちいい穴熊の毛のブラシは、高級感があって少し背伸びした気分。
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マグカップにソープを少し入れ、水を2、3滴垂らしてブラシで泡立てるとこの通り。メレンゲよりは少し柔らかい、ふわふわの泡ができました。慣れればもっとクリーミィな泡になるのかな?



ポパイ No. 872

いつか大人になったなら。

860円 — 2019.11.09電子版あり
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ポパイ No. 872 —『いつか大人になったなら。』

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