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ベスト1を決めるのは難しいので……。 From Editors 1 No. 884

From Editors 1

ベスト1を決めるのは難しいので……。

『インターステラー』の「ユリイカ!」みたいに、ひらめきました。いきなり1番好きな映画を聞かれても困るけど、10本だったら挙げやすいってことに! だから今回のポパイの映画特集、メインの企画はベストテンでいこうと思いました。別に1位を決める必要などありません。好きな映画を10本くらい挙げると、だいたいその人の映画の好み、そしてちょっとくらいはその人となりまで知ることができそうな気もします。100本観ている人も、年に1本観るかどうかの人も、自分の好きな映画についてあれこれ話すのって楽しいですよね。べつに話題は映画じゃなくてもいいんですが、NETFLIXで過去の名作も観やすくなったし、みんなも前よりちょっと映画好き? かなと。
どうでもいいのですが僕の場合は、とりあえずジョニー・トーの『ザ・ミッション 非情の掟』のぜんぜん当たらない銃撃戦が好きで、マノエル・ド・オリヴェイラの『アニキ・ボボ』で、少年が丘から転げ落ちるシーンで、線路のほんと数センチ手前で止まったと思ったらすぐさま全速力の黒々とした列車が走り抜けるという危険極まりないショットの「どうやって撮った!?」というスリルが好きであり、ドン・シーゲルの『突破口!』でのヘリコプターVS車のチェイスシーンが、これまで観たことない組み合わせだったので好きであり、リチャード・フライシャーの『マジェスティック』で車内にいるチャールズ・ブロンソンが車外の敵から銃で蜂の巣にされるシーンで、撃たれずに車から脱出するんですが、そんなとこから出れるんか!? となる衝撃の脱出シーンが大好きです。そして、そんな映画誰も観てないなってシチュエーションのときは、『レオン』が好きって言います。ジャン・レノ演じる殺し屋レオンの「地面よりも暗い色の服を着ろ」というセリフが好きで。でも、リュック・ベッソンを悪く言う人は多いです。「『レオン』? あんなのカサテヴェスの『グロリア』の焼き直しじゃないか」と、どこかの映画好きが口撃してきたら、マジで徹底抗戦です。人の好きな映画のことをディスる権利など、誰にもないのです。好きに語ればいいのです。映画の話をするのが楽しいんだから、それでいいじゃないか! そんな気持ちで、誰かと映画の話をするのが盛り上がる一冊になることを心がけて作りました。みなさんも、この秋は気軽に映画の話をして過ごしてみてはいかがでしょう? くれぐれも、人の好きな映画のことは悪く言わないように、です!

矢野一斗(本誌担当編集)
 
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映画監督の三宅唱さんと、プロデューサーの松井宏さんとの対談企画「映画のはじまり、覚えてる?」で用意したDVDの一部。大好きな映画のはじまりを覚えてるかゲーム、やってみると意外と盛り上がります。ぜひ。


ポパイ No. 884

誰かと話したくなる映画。

880円 — 2020.11.09電子版あり
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