マガジンワールド

バランスよく整ったクローゼットには惹かれない。 From Editors 1 No. 882

From Editors 1

バランスよく整ったクローゼットには惹かれない。

本当に必要な洋服とは何かを考えるとき、たいていのファッション雑誌及び媒体は、カシミアのニット、当然必要だよね、コートも微妙にシルエットが変わってきているよね、新しいの買うよね。てか、ぜんぶ揃えたいよね。と提案するのが基本姿勢かと思います。ですが、個人的には、すべてがバランスよく揃ったクローゼットにはまったく惹かれない。オックスフォードのボタンダウンシャツはたくさん持っているけど、スウェットは2枚しか持っていないとか、個人的な偏りがあるほうが個性的で、その服の持ち主のキャラクターが出ているクローゼットにこそ惹かれます。
今回の特集「CITY BOY’S ESSENTIALS.」では、そんな偏りのある魅力的な実例がいくつか登場します。例えば、NYを拠点に活動するファッション・コンサルタントのモデカイ・ルビンスタイン。都市生活をしているからこそ、洋服を選ぶのが楽しいと語りつつ、スマイルマークが後ろにベタベタと貼られたジーンズなどを紹介してくれました(もちろん彼にとってのエッセンシャルズ!)。そんなモデカイと数年前にロンドンの街でストリートスナップをして歩いていたとき、「365日、チノパンをはいている男」として紹介してくれたのが、〈サンスペル〉に勤めるマイケル・オテロでした。「言い過ぎだ(笑)」と言いつつ、ほぼ毎日チノパンをはく身として、その偏愛ぶりを語ってもらいました。そう、365日チノパンをはいたっていいのです。特集巻頭で、とてもミニマルなワードローブを見せてくれたイラストレイターのナイジェル・ピークは教えてくれました。「必要な服は、好きな服」。洒落ている人が、必ずしもたくさんの洋服を持っているとは限りません。ポパイの最新号で、本当に必要だと思える、そして好きだと思える洋服を見つけてもらえたら幸いです。

矢野一斗(本誌担当編集)
 
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ナイジェル・ピークのワードローブ。15年間はき続けているモカシンシューズに、パリのフリマで1ユーロで買ったブルーのワークジャケット、真夏に都会にいる時だけかぶるキャップ。「10年後も同じスタイルだろうね」。photo: Nigel Murray


ポパイ No. 882

CITY BOY'S ESSENTIALS

880円 — 2020.09.09電子版あり
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ポパイ No. 882 —『CITY BOY'S ESSENTIALS』

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