マガジンワールド

本当の恐竜の姿は誰にもわからないからこそ。 From Editors 2 No. 879

From Editors 2

本当の恐竜の姿は誰にもわからないからこそ。

雨のジャングルに取り残された1台のツアービークル。ふと、ダッシュボードに置かれたコップを見ると、中に入った水がわずかに揺れる。やがて振動は徐々に大きくなり、地面を揺らす足音とともに巨大なティラノサウルスが現れて−−−。多くの人に強烈なインパクトを残した、映画『ジュラシック・パーク』の名シーン。ティラノサウルスといえば、いまだにこのシーンが頭に浮かぶという方も少なくないかもしれません。ところが映画の公開から20年以上経ったいま、あの獰猛で凶暴なティラノサウルスは、実はチョコボのようにふわふわの羽毛で覆われた姿だったかも? なんて説が出てきているというのです。
「恐竜の世界は本当のことがわからいから面白い」とは、今回取材をさせていただいた恐竜学者の小林快次先生の言葉。僕たちが子供のころに図鑑で見た恐竜の姿は、あくまでその当時「一番可能性が高かった姿」であって、新しい発見や学説が登場するたびに、恐竜の姿はどんどん変わっていくのだといいます。そんな恐竜のいまを知り尽くしたくて、今回のポパイの誌上博物館では、まるごと恐竜づくしの“”別館“を作ってしまいました。
『ジュラシック・パーク』を古生物学者と一緒に観たら、今まで気にしていなかったシーンに実は大きな意味があることがわかったり、国立科学博物館では恐竜の骨格標本を見るときのコツを教わったり、プロの化石ハンターには、発掘現場は事件現場と一緒なんだと教わったり、名門大学で古生物学を学ぶ博士の卵たちにも話を聞いてみたり……。恐竜について知れば知るほど面白いのは、恐竜の姿形にはすべて、「なぜそうなったのか?」という物語があるから。NYのアメリカ自然史博物館でも、ワシントンのスミソニアン自然史博物館でも、もちろん上野の国立科学博物館でも、恐竜の骨格標本はいつだって博物館の主役です。今月のポパイを読めば、その見え方がきっと変わるはず。もしかしたら、プロの研究者と同じように、化石の向こうに“生きた恐竜”の姿が見えるようになるかもしれません。

柳澤耕平(本誌担当編集)
 
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こちらは取材をさせていただいた国立科学博物館のティラノサウルスの骨格標本。さて、ここで問題です。ティラノの目はどこでしょう? 一番大きな穴じゃありませんよ。答えは本誌で!


ポパイ No. 879

僕らの博物館。

860円 — 2020.06.09電子版あり
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ポパイ No. 879 —『僕らの博物館。』

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