逆立ちをして初めて、見えてくる世界もある。 From Editors 1 No. 887
From Editors 1
逆立ちをして初めて、見えてくる世界もある。
例年この時期の定番となっている部屋特集。例年と違い、全世界的に「外に出るな!」というムードですが、世界の8都市11部屋の個性溢れる住人たちを訪ねて思ったのは、みんな部屋での時間を自分なりに楽しんでいて、そういう人の部屋はどれも素敵だということ。表紙にもなっているNYの〈Green River Project〉のエーロンと、〈BODE〉のエミリーが住んでいる部屋は、彼らのルーツや趣味全開の異空間だし、ミケーレ・デ・ルッキの本邦初公開の別宅は、まさに仙人の庵といった雰囲気だし。老若男女、いい部屋だと思う空間には、必ずその人の人となりが表れるものなんだなと、あらためて。そうやって目を肥やしまくった挙句に自分の部屋を見返してみると……。まだまだやれることはたくさんありそう!
かたや、世に言う「いい部屋」が、ある程度凝り固まってきているのも確かで、そんなレールに乗っかって部屋作りを考えるのって本当に面白いのかな? と、疑問を投げかけることから始めた「THE BIG BAD INTERIOR BOOK」。ピーター・シャイアーを筆頭に、建築デザイナーの関祐介さん、現代美術家の加賀美健さん、GELCHOPと、型破りなセンスを持ったBADアベンジャーズたちと一緒に、もっと自由に部屋作りを考えよう! というコンセプトのもと、フレッシュなアイデアをいくつも考えました。この企画を作る上で『スーパービバホーム豊洲店』には何度足を運んだことか。会社かビバかという日々が続く中で、「こんなところにこんないいものが!」とか「これはこうも使えるかも?」とか、目が養われたのも確か。「先入観を捨て去り、自由な目ですべてと向き合う」。この禅問答のような心理こそが、本企画で伝えたいメッセージ。ぜひ逆立ちでもしながら読んでもらえると嬉しいです。
と、2月9日発売の最新号「シティボーイの部屋作り。」はいつにも増して、頭を柔らかくし、手を動かしながら作った一冊。他にも、ひとり暮らしの方必見な「ひとり暮しの手帖」、古道具の魅力を探った「古いものを何か、部屋に置いてみたくて。」など、いろんな角度から部屋作りについて考えてみました。外出自粛ムードを逆手にとって、これを参考に部屋の改造計画を立ててもらえたら幸い。部屋で過ごす時間はいくらでもあるのですからね。