マガジンワールド

横須賀凧 みやげもんコレクション284 BRUTUS No.879

みやげもんコレクション 284横須賀凧

静岡県/掛川市
文 / 川端正吾

庄助奴(掛川南部観光案内処☎0537・48・0190)。

勝頼vs.家康の戦から始まった遠州の凧。

「横須賀凧」というと神奈川県をイメージしてしまいますが、こちらは静岡県掛川市にある横須賀に伝わる凧です。その歴史は古く、戦国時代に、武田勝頼と徳川家康が戦った高天神(たかてんじん)城の戦いで、敵の陣地の測量や、通信手段として凧が利用されたことから、この地に根づいたとされています。その後、江戸時代になると、遠江(とおとうみ)横須賀藩の城主・西尾忠尚公の加増を祝い、家臣たちが凧を揚げ、祝い凧として定着していきます。庶民の間でも凧揚げが行われ、競うように多彩なデザインの凧が生まれました。ブンブンと音の出る“うなり”のついた凧や、大型の凧は禁止令が出たほどの盛り上がりだったそうです。やがて、4月20日過ぎから5月までという凧揚げ期間が決められ、男の子の節句を祝う凧として、今に受け継がれています。

20種類以上の凧がありますが、今回はその中から、横須賀凧の伝統的なモチーフである庄助奴をご紹介。横須賀の新町にあった旅館アカサカヤの「スズキショウスケ」さんが発案したデザインであることから、その名前がついたそう。表情に愛嬌があり、またよく飛ぶと人気です。

image
image
写真上/庄助奴(掛川南部観光案内処☎0537・48・0190)。写真中/毎年2月に『遠州横須賀凧揚げまつり』なるイベントも開催され凧の展示・販売も行われる。写真下/様々な横須賀凧。


 

掲載:BRUTUS#879 (2018年10月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。