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ひねり鳩 みやげもんコレクション 259 BRUTUS No.854

みやげもんコレクション 259ひねり鳩

東京都/台東区
文 / 川端正吾

ひねり鳩。各700円。注文は吉田さんのメールアドレス(kabusan@athena.ocn.ne.jp)まで。

子供の胸のつかえを取り払ってくれる食卓の小鳩。

かつて浅草観音の境内で売られていた玩具「ひねり鳩」。丸めた土に竹ひごで作った足とくちばし、そして紙や経木の尾を差して作られた、素朴な土人形です。大きさは2〜3㎝ほどの指先にのる程度の小さなもの。この鳩を食卓の上に置いておくと、子供の食事の胸のつかえがきれいになくなる、と信じられていました。

もともとは焼きを入れない生土で作られていた玩具で、とても脆く、ほとんど実物が残っていない幻の玩具でした。今戸人形の復元に尽力されている作家の吉田義和さんが、文献などをもとに蘇らせたものです。生土のままではあまりに脆いため、再現品は、頭と胴体部分を素焼きし、あらかじめ開けておいた穴に竹ひごの足や紙の尾を差し込む、という形で作られています。以前、この連載でも紹介させていただいた「犬のぴぃぴぃ」と同様に、吉田さんの作品は、東京の玩具は東京の土で作る、というこだわりのもとに作られており、このひねり鳩も東京の土が使われています。被官稲荷の鉄砲狐などの授与品製作も手がけられており、どれも素晴らしい人形です。

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写真上/ひねり鳩。各700円。注文は吉田さんのメールアドレス(kabusan@athena.ocn.ne.jp)まで。写真中/乾燥中のひねり鳩の胴体。写真下/素焼きされ、足や尾が差し込まれた状態。


 

掲載:BRUTUS#854 (2017年9月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。