マガジンワールド

みやげもんコレクション 209 姫路張り子

兵庫県/姫路市
文 / 川端正吾

姫路張り子

全国的に珍しい硬い瓦型で作られる姫路の張り子面。

城下町であった姫路は、商家が多く、張り子の材料となる使い古した反古(ほご)紙が大量にありました。明治初期、姫路藩の絵師であった豊岡直七は、そこに目をつけ、大阪で張り子細工の技術を学び、姫路市小利木町で始めたのが今回ご紹介する姫路張り子です。他の産地では、木型に紙を貼り込んでいく製作方法が一般的ですが、姫路張り子は瓦型を使うのが特徴。高温で硬く焼き固めた瓦型は、水分を含まず、強い圧力で紙を張ることができるため、強度が高まります。また、強度が高い分、紙を薄くでき、軽い仕上がり、持っただけで姫路産とわかる愛好家もいるのだとか。

ダルマや獅子頭、虎など、160種類以上の作品群を誇り、中でもお面は、昔から「姫路に行けばひととおりの面は揃う」と言われるほどの多作です。写真上の兎面は、初期から作られ続けているもので、姫路の面の代表作として知られています。

現在は5代目の松尾哲さんが継承。最近では、神事に使う面や、古い資料価値の高い面などの修復の依頼なども全国から舞い込むなど、面作りの名人として活躍しています。

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写真上/兎面1,800円。写真中/種類豊富な面たち。写真下/姫路市書写の里・美術工芸館(☎079・267・0301)では、張り子の販売のほか、松尾哲氏による製作実演や張子教室なども行っている。


 

掲載:BRUTUS#804 (2015年7月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。