マガジンワールド

みやげもんコレクション 225 はじき猿

宮城県/気仙沼市
文 / 川端正吾

約35年前から諸国郷土民芸館にて販売され、那須名物となっていた九尾の狐の張り子。胴模様には地元の名物である花のリンドウとツツジが左右の側面に。1,300円(☎0287・76・3366)。

漁船に振りかかる厄災を弾き飛ばす、宵まつりの縁起物。

宮城県の唐桑半島の突端に鎮座する御崎(おさき)神社。1000年以上の歴史を持ち、漁業の神様として知られることから、地元の漁師たちの厚い信仰を集めています。毎年1月、この御崎神社にて行われる『宵まつり』で販売されるのが「はじき猿」。参道にズラリと出店が立ち並び、カラフルなはじき猿が売られる光景は、地元の風物詩となっています。派手な風車と日本の国旗や御札で飾られていることはわかりますが、さて、果たしてどのあたりが“猿”なのか? 竹ひごの部分をよく見てみてください。小さな猿を模した人形があるのがわかります。その下には、細く削った竹をU字に曲げたバネがあり、これで猿を弾くことで、「厄をはじき去る(猿)」にかけている縁起物なのです。また、風車は、福がくるくると回ってくるといわれます。地元では毎年はじき猿を買い換えて神棚に供え、厄除け守りとして祀るのだとか。御崎神社には、ほかにも、遭難しかけた漁船を1頭のクジラが救ったという逸話から、小型の模型船「早波船(さっぱせん)」を奉納するという習慣も残っており、これも宵まつりの出店で販売されています。

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写真上/はじき猿2,000円(唐桑町観光協会☎0226・32・3029)。写真中/「猿」の人形は竹のバネで上に弾くことができる。写真下/遭難しかけた漁船を救ったクジラの逸話にちなんだ縁起物「早波船」。


 

掲載:BRUTUS#820 (2016年4月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。