マガジンワールド

みやげもんコレクション 212 亀持ち童子

静岡県/島田市
文 / 川端正吾

亀持ち童子

意外⁉ 静岡県では珍しい土人形玩具。

東海道五十三次の一つ、金谷宿。今の静岡県島田市にあったこの宿場町では、江戸時代より、土人形が名産品として人気を集めていました。しかし、明治には廃絶し、地元でもほとんど忘れ去られていた存在でした。

様々な張り子細工の玩具が伝わる静岡県ですが、実は土人形玩具はほとんどなく、愛好家の一部はこの金谷土人形の復活を望んでいました。そんな時、この人形の存在を本で知り、その魅力にとりつかれてしまったという地元の郷土料理店の女将が1996年に見事復元。異色の経歴の作者により、現代によみがえったのです。もともと美術大学の出身という手先の器用さを活かし、愛知県の土人形職人のもとに通って技術を習得。地元の郷土玩具研究会〈日本雪だるまの会〉の会員たちが収集していた金谷土人形の古玩などを提供してもらうなどして、様々な作品を復元していき、現在は50種にもわたる作品群となっています。

写真上の亀持ち童子も、型が残っていなかったため、古玩を参考に型を作り直して復元した作品。子供の元気な成長と長生きを願った作品です。

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写真上/亀持ち童子3,500円。写真中/羽衣狆。安産のおまじないとして神棚に飾られた。2,500円〜。写真下/馬乗り大黒4,000円。商売繁盛を願って。●金谷土人形・よし善☎0547・46・1869。


 

掲載:BRUTUS#807 (2015年9月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。