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なす土鈴 みやげもんコレクション304 BRUTUS No.899

みやげもんコレクション 304なす土鈴

大阪府/泉佐野市
文 / 川端正吾

なす土鈴1,500円(奈加美神社☎072・462・7080)。

様々な願いを「成す」、泉州の茄子。

平安時代創建と伝わる泉佐野(いずみさの)市の奈加美(なかみ)神社。もともとは大宮神社と呼ばれていましたが、明治42(1909)年、明治政府の神社合祀令(ごうしれい)により中庄(なかしょう)・上瓦屋(かみかわらや)・湊(みなと)の3村の神社が合祀された際に現在の名前に改称されました。中庄の「な」に「奈」、上瓦屋の「か」に「加」、湊の「み」に「美」と、それぞれの村名の頭文字に漢字を当て、つなげた名前です。

2009年に、改称から100周年を迎え、その際に作られたのが今回ご紹介する「なす土鈴(どれい)」です。なすは実をつけないあだ花がほとんどなく、よく実を結ぶため、縁起の良い野菜とされてきました。またなすは「為す」「成す」という言葉にも通じます。そして、泉州(せんしゅう)は水なすの名産地でもあることから、この土鈴が生まれました。まだ比較的新しい授与品ですが、手作りの素朴な風合いが評判となり、製作が追いつかなくなるほどの人気に。そのため、しばらく授与が止まっていましたが、数が揃うようになり、昨年末から再開されています。このほかにも、なすの絵馬や、なすの御朱印帳など、大願成就の縁起物が増えています。

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写真上/なす土鈴1,500円(奈加美神社☎072・462・7080)。写真中/慶長15(1610)年に再建された本殿は、大阪府の指定文化財にもなっている。写真下/なすがあしらわれた絵馬も。


 

掲載:BRUTUS#899 (2019年9月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。