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金天だるま みやげもんコレクション285 BRUTUS No.880

みやげもんコレクション 285金天だるま

愛媛県/松山市
文 / 川端正吾

金天だるま(両村信恵☎0899・22・3534)。

金ピカでぺったんこあたまの小さな福の神。

愛媛県松山市に伝わっている高さ5cmほどの小さなだるま「金天(きんてん)だるま」です。頭のてっぺんが金色に塗られていることがその名の由来で、金運などの福を呼んでくれる縁起物として、神棚などに飾られます。

かつては、家の門前に立って芸などを行った門付が、各家庭の玄関にこのだるまを投げ入れ、「お福が舞い込んだ!」「お宝が転がり込んだ!」などと声をかけて、ご祝儀をもらっていたそうです。

頭頂部を切り取ったように平らになっているのは、金天だるま特有の造形です。胴模様は、白い部分が太陽、緑の部分は松葉を表しています。

製作を行うのは5代目となる両村信恵さん。金天だるまから派生した「姫だるま」(写真右下)も製作しており、こちらも愛らしい姿で人気です。もともとは、伊予豆比古命神社(いよずひこのみことじんじゃ)の授与品だったものが、一般に広まったもの。神功皇后(じんぐうこうごう)が道後温泉を訪れた際に応神天皇を身ごもった姿をモチーフにしていると伝えられ、安産や子宝祈願の縁起物として親しまれています。高さ4.5cmから22cmまで、サイズも様々に用意されています。

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写真上/金天だるま(両村信恵☎0899・22・3534)。写真中/金色で平らな、特徴的な頭頂部。写真下/共に作られている姫だるま。サイズは6種あり。金天だるまは1サイズのみ製作されている。


 

掲載:BRUTUS#880 (2018年11月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。