マガジンワールド

招き猫 みやげもんコレクション349 BRUTUS No.944

みやげもんコレクション 349招き猫

徳島県/阿南市
文 / 川端正吾

招き猫 大1,800円、中1,300円(お松大権現☎0884・25・0556)。小サイズもあり。

非業の死を遂げたお松の無念を晴らした猫たち。

「有馬怪猫伝」「鍋島化け猫騒動」と並び日本三大怪猫伝の一つに数えられる徳島を舞台にした怪猫伝。それは貞享年間のこと、阿波国の加茂村は、不作続きとなり、この窮地を救うべく、村の庄屋・惣兵衛は、自分の田地を担保に、富豪からお金を借りました。その後、お金は返したのですが、うっかり返済の証文を受け取り忘れてしまいます。その後、惣兵衛は病死し、その妻であるお松が代わりに証文を請求したところ、富豪は証文どころか、担保の土地まで取り上げました。奉行所に訴えるも、富豪から賄賂をもらっていた奉行はこれを退けます。ついにお松は、飼っていた愛猫に遺恨を伝えた後、藩主の行列を横切って直訴し、処刑されてしまいました。その後、富豪や奉行の家には、怪猫が現れ異変が続き、ついに両家は途絶えてしまったそうです。

そんなお松を弔うためにできたのがお松大権現。その境内には所狭しと招き猫が奉納されており、その数は1万を超えているのだとか。右手を上げる猫は「金運や幸運」を招き、左手を上げている猫は「千客万来」を招いてくれるといわれています。

image
image
写真上/招き猫 大1,800円、中1,300円(お松大権現☎0884・25・0556)。小サイズもあり。写真中/お松の愛猫「三毛」の祀られている猫塚。写真下/無数の招き猫が奉納されている境内。


 

掲載:BRUTUS#944 (2021年8月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。