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雛絵馬 みやげもんコレクション 261 BRUTUS No.856

みやげもんコレクション 261雛絵馬

大分県/大分市
文 / 川端正吾

雛絵馬(長濱神社☎097・532・6452)。

雛祭りの起源? 少彦名命にまつわる絵馬。

大分県庁からすぐの市街地に鎮座する長濱神社。主祭神が医療・医薬の神様である少彦名命(すくなびこなのみこと)であることから、病気災難除けを願う参拝者が多く、特に婦人病への御利益があるとされ「おんなの神様」とも呼ばれて親しまれています。少彦名命は出雲神話で大己貴命(おおなむちのみこと=大国主命・おおくにぬしのみこと)とともに国造りに力を注いだ神様で、その名は体の小ささに由来し、一寸法師の原型であるともいわれています。また、諸説ありますが、3月3日の雛祭りは「スクナヒコナマツリ」という名前が次第に簡略化されて「ヒナマツリ」と呼ばれるようになったともいわれています。

そんな長濱神社で授与されているのが、こちらの「雛絵馬」です。絵馬というと、横長の形状をしたものがほとんどですが、この雛絵馬は縦長の板に、立ち姿の雛が描かれています。右の大きな雛が大国主命で、小さな雛が少彦名命です。もともとは「彦名形」と呼ばれ、紙で作られていた病気災難除けの形代(かたしろ)でしたが、のちに絵馬となり「雛絵馬」として授与されるようになりました。境内の絵馬堂には、膨大な数の雛絵馬が、病気平癒を願って納められています。

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写真上/雛絵馬(長濱神社☎097・532・6452)。写真中/市内で最初に行われる夏祭りとして親しまれる夏季大祭は、町内を神輿が練り歩き、参道には数多くの出店も立ち並ぶ。写真下/少彦名命を祀る本殿。


 

掲載:BRUTUS#856 (2017年10月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。