大阪府堺市にある大鳥大社は、御祭神である日本武尊（やまとたけるのみこと）に縁のある神社です。その昔、日本武尊は東征して東国を平定したのち、伊吹山で病に倒れました。そして、大和を目指す帰路の途中、伊勢国能褒野（のぼの）（現在の三重県亀山市）で亡くなります。亡骸は能褒野に埋葬されましたが、その陵墓から魂が白鳥となって飛び立ち、まず大和国琴弾原（ことひきのはら）（現在の琴弾原白鳥陵）に降り立ち、ついで河内国古市（現在の古市白鳥陵古墳）に降り、最後に留まったのが大鳥の地。現在の大鳥大社のある場所だった、と伝えられています。本殿のある千種（ちぐさ）の森は、白鳥が降り立った際に、一夜にして生い茂ったのだとか。

そんな千種の森に囲まれた境内には、ひときわ目をひくクスノキの大木があります。根が大きく隆起し、悠久の時を感じさせる御神木です。この根の隆起にちなみ「値が上がる、価値が上がる、運気が上がる」として、商売繁盛、財運向上の御利益があると信じられています。この大クスノキの姿が木版で刷られた「根上がり札」は、商売をする参拝客にとても人気のある授与品となっています。