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みやげもんコレクション 207 地震除けなまず

三重県/伊賀市
文 / 川端正吾

地震除けなまず

地震にも負けない立派なお屋敷が建つ⁉ 阿保のなまず張り子。

延喜式神名帳にも記されている古社、三重県伊賀市の大村神社。安政元(1854)年に起こった安政の伊賀上野大地震の際に、大村神社のある阿保地区だけは不思議と難を逃れたことから、境内にある「要石」と呼ばれる霊石がこの地区の岩盤をしっかり押さえつけていたおかげで助かった、という逸話が広まり、以来、地震除けの神社として信仰を集めています。毎年、11月2日・3日にはオオナマズが象(かたど)られた花車と3台の神輿が練り歩く、ユニークな例祭が行われることでも知られます。

そんな大村神社には、古くからナマズの授与品として、絵馬が伝わっていましたが、今から10年ほど前に、なにか新しいナマズにちなんだ授与品を、ということで生まれたのが、今回ご紹介するナマズの張り子細工。地震除けの御守のほか、“地震にも負けない立派な家が建てられるように”という願いを込めて買い求める人も多く、その願いを叶えた人たちは、本殿にナマズの張り子を奉納しに来ます。本殿の手すり部分に並ぶ、見事に願いを成就させたナマズの行列は、今や大村神社の見どころの一つとなっています。

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写真上/本殿の手すりに並ぶ、ナマズの行列。願いを叶えて戻ってきたからか、どれも誇らしげな表情。写真下/毎年11月に行われる例祭に出る、ナマズの花車。●大村神社/三重県伊賀市阿保1555。


 

掲載:BRUTUS#802 (2015年6月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。