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犬形代 みやげもんコレクション330 BRUTUS No.925

みやげもんコレクション 330犬形代

東京都/青梅市
文 / 川端正吾

犬形代300円(武蔵御嶽神社☎0428・78・8500)。

愛犬の穢(けが)れを祓ってくれる御嶽のおいぬ様。

盗難除け、魔除け、そして豊作の神としても信仰される青梅市の武蔵御嶽(むさしみたけ)神社。ニホンオオカミを守り神として江戸時代より「おいぬ様」信仰の地としても知られています。その由来は日本書紀の逸話に遡ります。日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の際、この御岳山から西北に進もうとすると、深山の邪神が大きな白鹿となって道を塞ぎました。日本武尊は白鹿を退治しますが、雲霧が発生して視界が悪くなり、道に迷ってしまいます。そこに、突如、白狼が現れ、西北へと日本武尊を導きました。無事に雲霧を抜けた日本武尊は、白狼に、「大口真神(おおくちまがみ)としてこの御岳山にとどまり、すべての魔物を退治せよ」と告げます。この逸話が江戸時代の天保期には広く知られ、多くの人たちが御岳詣でを行ったそうです。

また、近年では愛犬の健康を願う参拝客も多くなり、愛犬の健康祈願も行われています。写真上は犬形代と呼ばれるもので、犬のお祓(はら)いをするもの。紙でできた形代で犬の体を撫で、その形代に犬の息をかけることで、体の内外に潜む悪いものが形代に移り、お焚き上げしてもらうことで、愛犬が清められます。

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写真上/犬形代300円(武蔵御嶽神社☎0428・78・8500)。写真中/おいぬ様を象(かたど)った御神木守。1,000円。首からさげるタイプと、根付のタイプがある。写真下/愛犬の健康祈願。3,000円。


 

掲載:BRUTUS#925 (2020年10月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。