From Editors 2 No. 824 大人って何? その答えは“わかんないねぇ……”。
From Editors 2
大人って何?
その答えは“わかんないねぇ……”。
“大人”と聞いてまず何を思い浮かべるか。僕は幼い頃に見た『千と千尋の神隠し』を思い出す。はじめは引っ越して環境が変わることすら受け入れられずにいた千。そんな彼女が、そのあと投じられた、大人でも発狂しかねない異世界に順応し、「働かせてください!」と懇願し、魑魅魍魎たちをも受け入れていく。その成長を見ていたら、子供心に“大人”を感じずにはいられなかった。これが僕の初めて感じた大人感だ。
正直言って、特集を作り終わった今でも、大人が明確に何なのかはわかっていない。わからないのだ。でもそれでいいとも思っている。そう思わせてくれたのは、今号の企画「大人にあって話す。」で取材させていただいた、片岡義男さんであった。
片岡さんに大人とは何かを問うと、その答えは、「わかんないねぇ……わからないんだよ」であった。だが、取材である。何かを持ち帰らなければ! しかし、そのあとも片岡さんから出てくるのは、「わからない」ばかり。取材を受けていただいたからには、きっと何か僕らに伝えたい“大人”像があるはずだ、と思っていたのだが……。
片岡さん含め、この企画では7人の大人に会った。それを踏まえてあえて言うと、ポジティブな意味で大人が何なのか“わからなく”なった。片岡さんの答えは正しかったのかもしれない。僕も8月からこの号のためにほぼ3ヶ月間、大人について考えてきた。それでもなかなか大人の正体は掴めなかったのだ。考える人の数だけ答えがあるのかもしれないし、そもそも大人も子供も無いという人もいるかもしれない。
話が全くまとまらないが、最後にこれだけは言いたい。“大人”に正体が無いが、それをについて考えることは、なんだかワクワクしてくるじゃないか!
岩渕大介(本誌担当編集)