From Editors 2 No. 831 二人のヴィンセントと西海岸。
From Editors 2
二人のヴィンセントと西海岸。
「情報量がすごいですね」とよく言われる『ポパイ』ですが、40周年記念の今号はさらに、さらに、さらに情報を詰め込み、アートディレクターも「もうこれ以上入んないよ」とこぼすほどの高密度を実現した一冊となりました。そうなった理由は『ポパイ』の創刊号をならって、というのもあるんですが、とにかく西海岸が面白かったからでもあります。食べ物は美味いし天気は気持ちいいし、ついでに人もいい。入ったお店に写真家のトッド・セルビーがいて、クレイジーなお店を教えてくれたりもしました(くわしくは本誌にて)。個人的には、エコ・パークの『ドーナツ・フレンド』で偶然出会ったヴィンセントくんが最大の出会い。カルアーツっていう芸術大学の3年生なんですが、そこがまた面白い大学で。創刊号で紹介されていたUCLAのドミトリーの企画も、この出会いによってUCLA&カルアーツ、2大学のドミトリーという形でブラッシュアップすることができました。ヴィンセントくんはファッションページでも登場してくれています。見かけによらず、超イカつい車乗ってるんですよ。見かけによらないベスト3って企画もやってみたかった。そういえば、映画『コラテラル』でトム・クルーズが演じた殺し屋の名前もヴィンセントでしたね。彼が劇中、タクシーの中で語った言葉が西海岸をうまく伝えていると思います。「だだっ広くて、まとまりがない」。だからこそ編集しがいのある街。それが西海岸だと、実際に街を車でまわって(広すぎてとても歩けませんので)、人と話をして感じたことでした。
矢野一斗(本誌担当編集)