From Editors 2 No. 836 人間から溢れ出したものだから、アートは刺激的で面白いんだ!
From Editors 2
人間から溢れ出したものだから、
アートは刺激的で面白いんだ!
アートとは、人間から溢れ出したもの。なんて偉そうに書いてしまいましたが、これが今回の特集を作り終えた今の率直な気持ちです。スタート時点では、はっきり言って、アートがよくわからない。現代アートとなれば、なおさらのこと。美術館やギャラリーで作品を前にして、頭の中が「???」となることもしばしば。ただ、アートには音楽や映画や文学とはまた違う、人をドキッとさせる力があるという確信はなぜかありました。
手探り状態の日々でしたが、五木田智央さんにお会いして、自分の中の“アート”が一気にパカンと開きました。五木田さんといえば、9月にNYの老舗ギャラリー『メアリー・ブーン・ギャラリー』での2度目の個展を大盛況のうちに終えた世界的なアーティスト。なのに、目の前の五木田さんは「こうして好きな絵を描いているだけで飯が食えるようになるなんて、本当にラッキーだよな」とさらり。小学3年生以来、憧れのスターはアントニオ猪木。中学時代、授業中は教科書にある人物写真すべての顔に落書きをしまくった(休み時間はプロレスごっこ)。激バカで高校受験に失敗した。などなどなど。人間味がだだ漏れする存在感に、アーティスト以前に、人として好きになってしまいました。俄然、五木田作品への興味は高まるし、それまでとは違った色彩を帯びて見えてきました。
人間、性格や感情、趣味嗜好は様々だからこそ、溢れ出す“アート”は実に多種多様になる。受け手が「わからない」という感情を抱くのも当然。そのうえで、向き合うか、感じるか、なのだ。だから、アートは刺激的で面白い! 僕らの体感を、この特集を通して一人でも多くの方とシェアできたら嬉しいかぎりです!
山口 淳(本誌担当編集)