あなたにとって、クラシックなスタイルとは何ですか? From Editors 1 No. 846
From Editors 1
あなたにとって、クラシックなスタイルとは何ですか?
過去に弊社から発行されていた雑誌『relax』の、2002年のとある特集の背表紙には、「流れて行くものの中から流されないものを見つけることが上手になれたら、と思う。」とあります。まさにその気持ちで取り組むことになった秋冬のファッション特集。少々時代遅れに見える洋服の中には、見方を変えれば時代に流されない、スタイルのある洋服だと思えるものがある。そういう考えから、自分なりに“クラシック”なスタイルを探そうよというのが今回の特集で一番伝えたいことです。1987年に本誌も、「世界の一流品図鑑 たしかにこれは本物だ」という特集を組んだことがあります。そこで紹介されているものはなんだろうとページをめくってみると、まずは〈ブルックス・ブラザーズ〉のボタンダウンシャツが紹介されていたりします。クラシックって、こういうことかと思うわけです。クラシックと言っても、人によって解釈はさまざまです。「MISTER MORT」で知られるモデカイ・ルビンスタインは、“OLD NEW YORK CLASSIC STYLE”こそクラシックだ! とツバの飛んできそうな勢いで、彼の見識とセンスとユーモアを盛り込みまくった濃厚なスタイルサンプルのページを作ってくれました。〈Sleepy Jones〉を手がけるアンディ・スペードには、洋服のみならずライフスタイル全般にわたるクラシックなスタイルのお手本として、「THE CLASSIC HAND BOOK for CITY BOYS」を監修してもらいました。が、彼は「この中で僕の着こなしをいくつか紹介してもいるが、絶対にマネはしてほしくない。」と語っています。こんな洋服盛りだくさんの特集を作っておいて、スタイルってのは自分で見つけるものなんだ、という先輩からの厳しい言葉が校了間際に編集部に突き刺さったのでした。というわけで今号は、クラシックなスタイルのマニュアルではありません。皆さんが、自分なりのクラシックなスタイルを見つける一助になればと思っています。
矢野一斗(本誌担当編集)