ぼくの好きな音楽は2pacの「California Love」です。 From Editors 2 No. 854
From Editors 2
ぼくの好きな音楽は2pacの「California Love」です。
人生で一番最初に買ったヒップホップのアルバムが2pacのベスト盤でした。地元・宝塚のCDショップで、当時中学生の私はとにかくワルそうな音楽を探していました。バンダナを巻いて鼻ピーしてる、いい感じにワルそうなこのジャケットを見つけて、2枚組だしお得じゃんと思って購入。というのも、当時は反抗期の真っ最中で、養ってもらっているのに親父のことがマジ嫌い、という、多くの人が味わうであろう矛盾に苦しんでいる時期だったのでした。帰って部屋の鍵を閉め、姉からパクったCDプレイヤーでこのアルバムを聴き、英語なんて分からないので対訳リーフレットを読んでみたら、ビッチだのファックだのドラッグだの銃だの、けっこう汚いフレーズが吐き出されているのだと知りました。しかも、この人、銃殺されてもう死んでいた……! 正直なところ、かっこいいと思わなかったのですが、唯一ちょっといいかなと思えたのが「Califorinia Love」。なんだか聴くだけで強くなった気になって、これを聴いてりゃ不良なんか恐くない! 野球部も楽しいけど、ヒップホップが俺を守ってくれる! と、この後4年くらいは思っていたのでした。結局、高校3年で野球部も引退したし、ヒップホップも結局リスナーとして聴き続けてきただけでした。鼻ピーもしなかった。でもヒップホップに目覚めていなかったら、今回取材したカマシ・ワシントンさんの「公園行ったらフリースタイル・フェローシップとかパイセンたちがフリースタイルしててさー」という話に興奮できなかったはずです。というわけで駄文失礼しました。今回は音楽の特集です。みなさんの好きな音楽は何ですか? 本特集のメインコンテンツ「ぼくの好きな音楽。」では69名の方々に、一番好きな曲について語ってもらいました。今号を読みながら、音楽を流しながら、みなさんも好きな音楽についての話で盛り上がってもらえたら幸いです!
矢野一斗(本誌担当編集)