マガジンワールド

きっかけはこのソファを買ったこと。 From Editors 1 No. 860

From Editors 1

きっかけはこのソファを買ったこと。

どうです? 背もたれの楢材の深い色艶と美しいカーブ。最高でしょ? これは北欧のデザイナーズではなく、稲熊祐典さんという日本の31歳の家具職人が手作りしたソファ。結婚を機にとりあえずで買った安物ソファがいよいよボロくなり、ちょうど買い替えを迫られたタイミングだったのですが、幡ヶ谷の『ブルペン』で見つけたコイツに一目惚れし、意を決して購入しました。思い返すと、この買い物が「クラフツマンシップ」について考える大きなきっかけとなったのです。

このソファだけでなく、職人さんが手と技を駆使して作ったいいものが、他にもまだまだあるのでは? そう思って身の回りのお店を片っ端から見て回り、店主に話を聞くことから始めました。そうしているうちに気づいたのが、一見とっつきにくそうにも思えるこの「クラフツマンシップ=職人、そしてその技」というテーマも、とても身近な存在だということ。自分と年齢の近い作り手もたくさんいたし、まだ先のステージにあると思っていた漆器や焼き物にも買いやすくて素敵なものがたくさんあった。そうやって地道に見つけたいいものから逆引きして、その作り手たちに連絡を取り、大分、愛知、岡山そして都内各所と、日本各地に散らばる彼らに実際会って話を聞いてきました。作るものは違えど、皆それぞれに誇りと哲学を持っていて、何より立ち居振る舞いも含め、彼ら自身が本当にかっこよかった。取材を進めるたびに、作り手が素敵だから作ったものが最高なんだよなという当たり前のことに何度も気づかされました。

家具、器、靴といった、誰しも思い浮かべる王道のものはもちろん、僕らがそのアイデアや作り手の思いに惚れ込んだ意外なものまで、広い視野で「CRAFTSMANSHIP!」と向き合った本特集。日本に留まらず、NY、LA、ポートランド、ロンドン、パリ、ベルリン、メルボルンと世界に手を広げ、僕らが本当にいいと思ったもの、応援したくなる作り手を見つけてきました。正直、おいそれと気軽に買えるものばかりではありませんが、すぐにではなくともいつかは手にしたいと思ったり、自分もこんなものを作ってみたいと思ったり。この一冊を通じて「職人技」や「クラフト」がぐっと身近なものになったらいいなって思います。

角田貴宏(本誌担当編集)
 
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買ったソファの完成形。座面はグレーグリーンのデンマーク産ウールファブリックにしました。ちなみに一緒に写るのが稲熊祐典さん。ソファ自体もそうだけど、彼も相当男前でしょ? こちらはフォトグラファー間部百合さんが撮ってくれたもので、誌面にてソファをどーんと紹介するにあたり最後まで候補に残っていた写真です。最終的にどんな写真にしたかは……本誌でご覧ください。


ポパイ No. 860

クラフツマンシップ。確かにこれは、職人技だ!

840円 — 2018.11.09電子版あり
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ポパイ No. 860 —『クラフツマンシップ。確かにこれは、職人技だ!』

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