新年、新たな気持ちで「部屋」について考えた。 From Editors 1 No. 862
From Editors 1
新年、新たな気持ちで「部屋」について考えた。
あけましておめでとうございます。しっかり休みを取って、気力体力も十分。新年は何かをスタートするのにぴったりなタイミングだ。そこでおすすめなのが「部屋」のこと。ちょうど年末の大掃除で綺麗になっているというアドバンテージもある(よね?)。インテリア雑誌に載ってる部屋は確かにおしゃれだけど、僕たちのリアルからは遠い気がする。逆にけっこう散らかっていたり、モノだらけなのになぜか居心地がよかったり、人が集まる部屋がある。何が違うんだろう? 本当にいい部屋ってなんだろう? そんなことを考えながら、海外、日本のさまざまな家を訪ねてみた。「ほぼミュージアムな部屋」(パリ)、「美味しいおつまみとミッド・センチュリーモダン」(ギリシア)、「トランシーバーで呼び合う部屋」(東京)…、さらには、どんなドリンクやフードでゲストをもてなすのか、その人なりの「おもてなし」も教えてもらったり。部屋の魅力はもちろんあるけど、住んでる人のキャラクターも大きいよなあ、なんて思っていたところに、映画監督ガス・ヴァン・サントのLAの家を訪れた野村訓一さんから原稿が届いた。「人に見せるためのものや実際には使わないようなものなんて一切置かずに、自分が好きなものだけを置き、好きなように暮らしている人の家はその人自身であり、だから僕にとっても居心地がいいのだ」。野村さんの明快な結論に思わず膝を打った。ただ、あくまでこれは野村さん自身の考えであって、僕には僕の、あなたにはあなたの「本当にいい部屋」があると思う。このポパイが、そんなことを考える一助になれば嬉しい限りです。
齋藤和義(本誌担当編集)