改めて、インターネット。 From Editors 1 No. 881
From Editors 1
改めて、インターネット。
みんなネットで何をしてるんだろう? この特集を作り始めたのはそんな疑問からでした。SNSも買い物も映画も友達とのやりとりも、それこそ当たり前のように使っているわけですが、何が面白くてみんな日々使っているんだろう、ってことは改めて考えたことがなかった。
何をしたかといえば、世界中から探したオンラインショッピングカタログを作ってみたり、便利なだけじゃないオンラインストアを取材したり、フードエッセイストの平野紗季子さんと夏に食べたいサマーフードをお取り寄せしたり、身のまわりの人の使い方を聞いたり。ポパイなりにインターネットの面白みを探してみました。紙の雑誌ということもあり、ほとんどの企画にQRコード(1994年に日本の企業が開発した技術で意外と歴史がある)をつけています。
ちなみにこの号の発売日は8月6日。今から29年前のこの日、スイスのアルプスで世界を変える技術が発表されました。今こうして、このテキストブログを読んでいるのに使っているWWW(ウェブ)です(その前年に技術自体は誕生していましたが)。開発したのはティム・バーナーズ=リー博士。2012年のロンドン五輪開会式に登場したのでそこで見たことがある人も多いのではないでしょうか? でも、当時はまだ一部の大学や専門機関しかその技術を知っておらず、一般の人はウェブはおろか、インターネットの存在すら知らなかったというから驚きです。1993年にブラウザ「Mosaic」が発表され、1995年に「Windows 95」が発売されることでいよいよ世界はネットワークで繋がり、文字通り「インターネット」になりました。そんなインターネットの誕生と1995年から現在までのインターネット史をまとめた企画「インターネット25年史」もあります。と、ここで自分の話で申し訳ないのですが、Windows 95が発売されたその年に僕は生まれました。この年表企画は、まるで自分の成長を追っているようで感慨深く(笑)。2001年(当時幼稚園年長)、「1000 songs in your pocket」をキャッチコピーにiPodが発売されます。「あんな小さな箱に1000曲も入るなんて!」と衝撃だったことでしょう。僕が初めて買ったのは確か、2009年(当時中学2年生)のiPod nano。TSUTAYAでCDをレンタルしまくりました。GReeeeNのCDだったかな? それからたった14年後(!)、2015年(当時大学2年生)には音楽専用デバイスは姿を消し、定額で数百万曲が聴き放題のApple Musicが発表されます。ものすごい技術進化のスピードです。日本では2008年(当時中学1年生)に発売されたiPhoneの発売がその進化を決定づけたのだなと、年表を作りながら感じていました。
高校生1、2年のころ(2011〜2012年)が、ちょうどガラケーからスマホへの移行期でした。僕も高校1年生のときはガラケーを使っていて、「ホムペ」を作って友達と相互リンクさせる、なんてことをしていた気がします。今見たら恥ずかしくなってしまうんだろうな(笑)。高校2年生になるとスマホを使う友達が増えていきました。修学旅行の写真はその友達がiPhoneで撮っていたので、まだガラケーだった僕の手元にはほとんど写真が残っていません。もしこれを読んでいたら、僕に写真を送ってください!(笑) つい、自分のインターネットの思い出に浸ってしまいましたが、この年表企画を読みながら、みなさんも「懐かしい!」「よくそのサイト見てた!」「え、今使っているサービスって実はこんな昔から?」と楽しんでいただけたら嬉しいです。
こうしてインターネットとウェブの急成長の歴史を振り返ってから、前述のロンドン五輪開会式の映像を見ると、鳥肌が立ってしまうはず。ティム・バーナーズ=リーは会場から「This is for everyone」と実際にツイートするのですが、それは「オリンピックがみんなの為にある」という意味だけではなく、29年前にWWWの技術について、なんの権利も主張せず、フリーで全世界にこの技術を発表し共有したティムの思いも込められていたのではないでしょうか。これからのインターネットがどう進化していくのか、楽しみです。