マガジンワールド

な〜んだ、東京もローカルか。 From Editors 2 No. 889

From Editors 2

な〜んだ、東京もローカルか。

「東京なんて、住む場所ないわよ〜。」田舎の親戚にそう言われ、重度の心配を浴びながら東京にやってきてはや1年。就職とともに上京した私にとってこの町はいろんな意味で向かい風が強いな……なんて思っていたら東京特集の担当になりました(突風!)。ですが、今回の特集のテーマは「普段使いの東京案内」。東京に住んでいる人の暮らしを「普段使い」の視点で見てみようということで、いろんな人の日常生活を聞いて町を歩きました。すると、「あれっ、町も人も優しいな……この風景地元でも見た事あるな」と思う場面さえありました。

「東京もローカルだよ」と仰ったのは、あの『孤独のグルメ』原作者の久住昌之さん。今回の特集を考える上でヒントになったのは、久住さんの初の著書『近くへ行きたい。秘境としての近所ー舞台は”江ぐち”というラーメン屋。』、久住さんが家の近くにある行きつけのラーメン屋”江ぐち”について書いた1冊です。私たちは幸運なことにインタビューの機会をいただき、本のこと、「普段使い」って一体何なのか?を聞きました。

また、「僕が住む町の話。」というページでは、久住さんをはじめ、いしわたり淳治さん、江原茗一さん、ずんの飯尾和樹さん、今泉力哉さん、ラランドのサーヤさん、鴻池留衣さんに、ご自身が住んでいた町についてのエッセイを寄稿していただきました。おそらくここでしか見られないラインナップと物語、必読です。

さらには、Book in Bookの「普段使いのEat-up Guide」では、古舘佑太郎さん、柳亭小痴楽さん、塩塚モエカさんなど15名の方々に都内の普段使いの飲食店を語ってもらいました。若い頃の思い出と重ねて話す人もいれば、自分の原点的な場所としてお店を挙げてくれる人もいたりと、普段使いって人柄をよくうつすものだなあとしみじみ。Book in Bookの巻末には、総数104軒分の普段使いのメニューと店のリストも付いてきます。編集部員の普段使いということで、嗜好にやや偏りあり(?)ですがぜひご活用ください。

とはいえ、東京に住んでる人向けでしょう?と思ったそこのあなた、東京もローカルで、生活があります。「普段使い」という視点があれば、どの町でも同じことは言えるはず。ぜひたくさんの人に手に取ってもらえたら嬉しいです。

田口愛弓(本誌担当編集)
 
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今回の特集の大きなヒントとなった久住昌之さんのエッセイ。今は絶版していますが古本屋さんやネットで見つけたらぜひ読んで欲しい1冊です。
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私にも”江ぐち”的な店あるかな〜と考えたときに浮かんだのが、編集部近くの『共楽』のラーメン。入社間もない頃に先輩に連れて行ってもらってから、疲れた時には気づくとここにいる、そんなお店です。何度でも食べにいきたいお店がずっといてくれることってありがたい。


ポパイ No. 889

普段使いの東京案内。

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