マガジンワールド

自炊するってどういうこと? From Editors 2 No. 890

From Editors 2

自炊するってどういうこと?

「料理する?」と聞かれれば「時間あればするよ」と答えるけれど、「自炊してる?」と聞かれると、「うーん」となる。そういう人って結構、多いんじゃないかと思います。かく言う私もそのひとり。オムレツを焼いて真っ黒焦げにすることもないけれど、週末にせっせと作り置きをするほどでもない。なんなら、帰りが遅くなったりすると、すぐにコンビニの冷凍汁なし坦々麺や、松屋のハンバーグ定食に吸い寄せられてしまう。となると食材も余らせがちで、作る料理も同じようなものばかりになる。学生時代に一人暮らしを始めたものの、「自炊」が身につかなかった典型的なパターンですね。

考えてみると、「料理ができる」と、「自炊する」は、全然違うものです。例えば、友達が家に遊びに来た時に、気の利いた料理をさっと作れたらとても素敵。相手も喜んでくれるし、作った方も気分がいい。でも、毎日自分で料理を作っていて喜んでくれるのは、実家の両親くらいのもの。そのわりに手間もかかるし、けっこう面倒くさい。じゃあコンビニと外食ばかりでもいいかと言うと、それはそれで嫌なので始末が悪い。こんなふうに料理下手の私たちを悩ませる「自炊」。どうにかもっとスマートに、快適にはならないものか? というか、そもそもなんで自炊ってするんでしたっけ?

と、これが今回、「自炊について考える。」という企画が生まれた経緯。「快適な自炊とは?」という問いの答えを探して旅に出たひとりの青年が、5人の料理賢人のもとを訪ねます。俳優の東出昌大さんは卓上七輪を取り出し、「按田餃子」を営む按田優子さんは「ほうれん草は買わない」と宣言、料理研究家の高山なおみさんからは自炊が捗る具体的なアドバイスを、映画研究家の三浦哲哉さんには「自炊は自由だ」と教えてもらう。そして最後には、自炊漫画の金字塔『クッキングパパ』作者のうえやまとちさんのご自宅へ。それぞれに自炊論を聞き、日々の料理に使えるテクニックを教えてもらい、そしてちゃっかり、それぞれの自炊メニューも食べさせてもらう……。

そんなふうに話を聞いた結果、青年がどんなことを学んだのかは、ぜひ誌面を。それぞれが教えれくれた自炊メニューも簡単で試してみたくなるものばかりなので、目を通してみてください。とりあえず私は、東出くんに倣って七輪でめざしを焼くことから始めてみようと思います。

柳澤耕平(本誌担当編集)
 
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按田さんが教えてくれた「名もなき煮物」。使っている鍋はフランスの「VISIONS」のもので、中の様子が見えて便利なガラス製。
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東出くんが家でよく使っているという卓上七輪がこれ。奥の土鍋でごはんを炊く手つきも流石に手馴れたものでした。


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