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「イントロをスキップ」はちょっと待って! From Editors 2 No. 892

From Editors 2

「イントロをスキップ」はちょっと待って!

音楽という壮大なテーマの中で、僕が特に心血を注いで取り組んだのが「アニソン入門」と題したブックインブック。子供の頃に『新世紀エヴァンゲリオン』で洗礼を受けた一人としては、アニメは今でもなくてはならない存在であり、日本が誇るポップカルチャーの一つだと切に思っているからです。アニメ好きではあっても、ことアニソンとなると話は別で、まずは好きなアニメの音楽を手掛けるプロに話を聞くことから、この特集を始めることにしました。ルフィと成長を共にしてきた『ONE PIECE』の「ウィーアー!」を手掛けた田中公平さんに、昨今で一番ハマった『SSSS.DYNAZENON』の主題歌を歌う大石昌良さん、『天元突破グレンラガン』の衝撃から今でも追い続ける製作会社 TRIGGERの近作『BNA ビー・エヌ・エー』(やっぱりTRIGGER作品は最高!)で洒落た劇伴を作ったmabanuaさん、そしてガンダムソングの永遠の歌姫、森口博子さんの4人に話を聞いて回りました。話の内容自体、とても面白かったのですが、何より印象的だったのは、4人ともアニメカルチャーにリスペクトと誇りを持って関わっているということ。曲はあくまで作品の一部で、作品あっての曲だと、皆口を揃えるように言っていました。アニメを描く人がいて、主題歌や劇伴を作る人がいて、その他多くの人が情熱を持って制作に関わり、長い時間と労力をかけ、ようやくオープニングからエンディングまでの30分1話が完成する。皆が皆、互いを尊敬し合いながら作品が完成するアニメって、本当にハートフルであったかい世界なんだなあと。僕が好きだったのは、作品そのものもそうですが、彼らの情熱の端っこが垣間見える、この感じだったんだ。そんなことに、あらためて気付かされた気がします。

また、田中先生の「アニソンは世界基準」という言葉に触発されて、大のアニメ好きとしても知られる、サンダーキャットやフライング・ロータスにも、アニソンのことについてインタビューを敢行。サンダーのリモート取材では、zoom画面を開いた瞬間、壁に飾られたアスカ・ラングレーのタペストリーが目に飛び込んできて、本当に好きなんだなあと崩れ落ちたし、フライング・ロータスなんて自身も制作に携わった『YASUKE-ヤスケ-』の主人公ヤッさんに似ているって伝えた瞬間に満面の笑顔になったし。本来ならこんなにキャッキャ話せる相手ではない2人ですが、アニメという話題を通じて、いくらでも楽しく話せた。そう、アニメは国境も世代も立場も超える世界共通言語なんだと、実感した瞬間でした。サンダーのカラオケ十八番、フライローの好きなアニソンも掲載しているので、そちらもお楽しみに。刀を持つヤスケ、というよりブレイドな(笑)、フライローの姿も必見です!

他にも、『刀剣乱舞』の燭台切光忠(制作期間中に特急燭台切光忠にも無事乗車!)、『憂国のモリアーティ』のアルバート・ジェームズ・モリアーティ、『ジョジョの奇妙な冒険 戦闘潮流』のシーザー・アントニオ・ツェペリなど、僕が好きなキャラの声をことごとく演じているイケボ、佐藤拓也さんにインタビューしたり、日本の作品だけでなく、ディズニー好きのBIMさんにディズニーソングについて話を聞いたり、表紙を、これまた大好きな作品ばかり手掛けているアニメーター、すしおさんにお願いしたり(『シン・エヴァンゲリオン劇場版』にもクレジットされてます!)。16ページという限られた尺の中に、入るだけの愛を詰め込んだつもりです(まだまだ足りないのは重々わかっておりますが……)。これでアニソンのすべてがわかるわけではありませんし、初めから網羅できるとも思っていません。あくまで“入門編”として、アニメおよびアニソンを楽しむきっかけの一つになればと思って、このブックインを作りました。今やVODで過去の名作もたくさん見られるいい時代。ただし「イントロをスキップ」はひとまずやめておいて、オープニングとエンディングを含めた30分弱の総合芸術として、1話1話噛み締めながら楽しんでいただけたら! と。
Have a nice anime time!

角田貴宏(本誌担当編集)
 
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こちらは、表紙の打ち合わせ時にすしおさんが、サラッと描いてくれたイメージ。『アニソン入門』というタイトルのアニメポスターをテーマに描いてくれた。完成版は本誌をお楽しみに!
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『エヴァ』の劇伴でお馴染みの鷺巣詩郎さんにも話を聞いた。写真は1979年9/10月号の「ポパイフォーラム」で取材したデビュー当時の鷺巣先生。このご縁あって、今回取材を受けてくれた。


ポパイ No. 892

なにはともあれ、いい音楽が必要だ。

880円 — 2021.07.09電子版あり
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ポパイ No. 892 —『なにはともあれ、いい音楽が必要だ。』

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