みやげもんコレクション 174 破魔鬼
愛媛県/西条市
文 / 川端正吾
みんなが憧れる強くて頼れる守り神の鬼。
“鬼”というと、様々な民話などで大暴れし、悪役の代名詞としてお馴染みですが、愛媛県西条市で鬼といえば、なんと強くて頼りになる守り神として親しまれる存在。この地に鎮座する伊曽乃神社には、白糸の房が付いた黒い股引半纏に、黒足袋、黒帽子と、黒ずくめの衣装を身にまとい、黒い鬼の面を背負った人々が祭礼の行列のお供をして警護する「鬼頭」という組織があります。その昔、村に体の弱い子供がおり、なんとか強い子供に育てたいと思った両親が神社に参ったところ、「その子供に黒い服装と黒の鬼面を着け“この子は日本一強い鬼の子だ”と言ってお祭りのお供をしなさい」とお告げがありました。その通りにしたところ、みるみる丈夫な体に。これが評判となって、大勢の体の弱い子供が黒衣装に鬼面で行列のお供をするようになったことから始まった習俗です。今回ご紹介する授与品「破魔鬼」は、その鬼頭たちが背負う鬼のお面を模した木彫りの魔除け守り。地元ではお正月に買い求め、家の柱に毎年1つずつ括りつけて増やしていき、その柱を「破魔柱」と呼んでお祀りしています。
掲載:BRUTUS#769 (2014年1月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。