みやげもんコレクション 184 厄除け人形
岩手県/和賀郡
文 / 川端正吾
人の繁殖力こそ最強の厄除けパワーなり!
豪雪地帯として知られる岩手県和賀郡白木野地域。何もかもが雪に埋もれた冬、毎年1月19日になると、集落の皆が集まり大きな藁人形を作ります。チョンマゲ頭に裃姿をした、侍風の人形なのですが、なにより目をひくのは、頭よりはるかにデカい特大の男根。この藁人形は厄除けの習俗に使われるもので、子々孫々絶えることなく続いてきた人間の繁殖力の強さにあやかって村を守ろうと考えたことから、この姿になりました。完成した藁人形はかついで練り歩くことで、集落内の疫病神をすべて背負い、村外れに追い出す、とされています。厄をすべて追い出した後は、高い栗の木の上に据え付けられ、新たな厄災が入ってこないようにと外へ睨みをきかせます。この行事は江戸時代中頃にあった疫病の大流行以降に行われるようになり『白木野人形送り』として200年以上行われています。
写真上は、白木野の藁人形を小さくし、お守り代わりに作られているもの。男根は、縄文時代より信仰の対象となっていた根源的な祈りのカタチですからね。照れることなく、堂々と飾ってください!
写真上/白木野地域で行われる人形送りの様子。写真下/みちのく民俗村内民俗資料館では行事で使われる人形が通年展示される。写真大/厄除け人形2,000円。●展勝地レストハウス☎0197・64・2110。
掲載:BRUTUS#779 (2014年6月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。