みやげもんコレクション 185 寅童子
愛知県/新城市
文 / 川端正吾
寅童子の化身、徳川家康にちなんだ起き上がり小法師。
寅年、寅の日、寅の刻に生まれた徳川家康の伝説にちなむ愛知県の玩具「寅童子」。
家康の母である於大の方は、強くたくましい男子が生まれることを願い、鳳来寺へお参りし、薬師如来に祈りました。すると、その1年後に元気な男子が生まれます。これが後の家康です。不思議なことに、家康が生まれると、鳳来寺の薬師如来を護る十二神将像のうち、真達羅大将の像が忽然と消えてしまったのです。十二神将は薬師如来を十二の方角と時刻からそれぞれ護る神で、真達羅大将は寅童子とも呼ばれ、寅の方角と寅の刻を担当していました。元和2(1616)年、75歳で家康が亡くなると、いつの間にか真達羅大将の像は元あった場所に戻っており、家康公は寅童子の化身とされるようになりました。
この逸話を基に、昭和30(1955)年頃に作られるようになった玩具です。数多くの挫折を乗り越え天下を獲った七転び八起きの家康の人生に重ね、起き上がり小法師に寅の絵付けがしてあります。平成に入りしばらく廃絶していましたが、2010年の寅年に復元され、鳳来山東照宮にて授与されています。
復元製作は竹内久美子さんが一つ一つ手作りで行っている。もともと作られていた黄土色に近い地色のものに加え、鮮やかなオレンジ色のタイプもあり。共に800円(小)。●吉一商行☎0536・32・1733。
掲載:BRUTUS#780 (2014年7月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。