マガジンワールド

みやげもんコレクション 201 長野原のキジ車

群馬県/吾妻郡
文 / 川端正吾

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九州だけの玩具かと思われていたキジ車が遠く離れた群馬にも!

野鳥のキジをモチーフに木を削り出し、車輪を付けた玩具、「キジ車」。九州以外のところではほとんど見られないのですが、今回ご紹介するキジ車は、なんと遠く離れた群馬県の長野原町に伝わるもの。長野原では小正月に、「ツクリモノ」という、ヌルデの木で作った農道具のミニチュアなどを神棚に供える習慣があり、ツクリモノの一つとして、キジ車が作られているのです。この地域では、キジは、夫婦仲の良い鳥として結婚式の吸い物として供され、また、歳神様へのお供え物としても重宝されたそうです。そんな習慣から、キジを模した木彫細工がお供え物として作られるようになったといわれています。その姿は、九州に伝わるそれととてもよく似ていますが、つながりについては、まったくなにもわかっていません。独自の歴史を辿って、偶然にも同じような形状に辿り着いた、というのであれば、これはとても興味深いことですね。長野原のキジ車は、町のイベントなどで製作実演が行われ、写真上の40㎝程度のものを入手することができるほか、小型のものは土産物店で扱われています。

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写真上/ヌルデの木からナタで丁寧に削り出す、昔ながらの方法で製作を続けている佐藤甲子氏。写真下/常時販売されている小型サイズのキジ車。●浅間酒造観光センター☎0279・82・2045。


掲載:BRUTUS#796 (2015年3月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。