みやげもんコレクション 237 魔除渦巻お守
京都府/京都市
文 / 川端正吾
「隼人の盾」の魔除け模様が描かれたお守り。
外国人に人気の日本の観光スポット第1位にも選ばれた京都の伏見稲荷神社。その一番の見どころである朱塗りの千本鳥居を抜けて熊鷹社に向かう途中、見逃してしまいそうな細い脇道を右へ入って山道を登っていくと〈伏見神宝神社〉があります。「神宝」とは、物部(もののべ)氏の祖神である饒速日尊(にぎはやひのみこと)が天上よりもたらしたとされる十種神宝(とくさのかんだから)のこと。十種神宝は、三種の神器との関係性もいわれており、死者をも蘇らせる力があるとされています。また、境内に入ると狛犬ではなく、狛龍とでもいうべき阿吽(あうん)の龍がドンと鎮座。境内の竹林はかぐや姫で知られる『竹取物語』の祖地でもあったりと、様々なパワーがてんこ盛りになっているような神社ですが、実はもう一つ目を引くものがあります。それが社殿に祀られている「隼人の盾」。平城京跡から見つかったものの複製で、妖(あや)しげな黒と朱の渦巻き紋が重なった模様が描かれています。朝廷の儀式などに用いられ、邪悪なものを追い払うために使われたそう。この盾にちなんだ魔除け札が授与されており、これまた社務所でものすごい存在感を発しています。
写真上/魔除け渦巻お守800円(伏見神宝神社☎075・642・5838)。写真中/境内に鎮座する狛龍。こちらは阿形の「天龍」。吽形は「地龍」。写真下/内の竹鳥居の注連縄(しめなわ)に下げられた魔除け渦巻お守。
掲載:BRUTUS#832 (2016年10月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。