那珂湊だるま みやげもんコレクション 264 BRUTUS No.859
みやげもんコレクション 264那珂湊だるま
茨城県/ひたちなか市
文 / 川端正吾
新彫りの深い横顔が特徴的な漁師町のだるま。
茨城県の北部に位置し、現在は合併によりひたちなか市となった那珂湊(なかみなと)。関東を代表する人気の観光市場には、年間100万人以上が訪れ、賑わっています。この漁師町に伝わる郷土玩具「那珂湊だるま」は、ぜひ真横から眺めてほしい顔立ち。額がリーゼントのようにせり出し、あごもグッと前にしゃくれ、鼻もひときわ高く、彫りの深い顔立ちをしています。地元に伝わる逸話によると、船で海へ出ていく漁師たちが、朝日のまぶしさを避けるために目の上に手をかざして海原を眺める姿が、だるまに投影されたため、目の上が膨らんでいるのだとか。
だるまのモチーフとなっている達磨大師は、南インドの王子として生まれ、中国に渡り禅宗を開いた、といわれており、残されている肖像画もかなり彫りの深い顔立ちなので、ルーツを忠実に再現している、ともいえるかもしれません。
100年以上にわたり作り続けられており現在で4代目。年末、那珂湊の商店街で行われる暮市に、だるま売りの露店が出るのがこの町の風物詩。海上での安全と大漁祈願を祝うために漁師たちが買い求めていきます。
写真上/那珂湊だるま(丸)5,000円(那珂湊だるま☎029・262・3725)。写真中/関東でも屈指の人気観光漁港である那珂湊おさかな市場。写真下/別角度から。かなり立体的な作りとなっている。
掲載:BRUTUS#859 (2017年12月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。