たこだるま みやげもんコレクション 267 BRUTUS No.862
みやげもんコレクション 267たこだるま
広島県/三原市
文 / 川端正吾
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名産のタコがモチーフとなった鉢巻きだるま。
江戸末期に上方からだるまの製法が伝わり、作り始められた「三原だるま」。この地のだるまは一風変わっています。一番の特徴は、細長い頭に豆絞りの手ぬぐいを頭に巻いているところ。何事にも頑張りがきくように、との願いからです。そして、両目ともに最初から描かれています。これは、先がよく見通せるように、との願いから。また、体の中には、鈴や小石などが入っており、振るとカラカラと音が鳴るようになっています。これは、願いが“なる”、という縁起担ぎからです。
地元で400年以上続くお祭りである『神明市』には、全国からだるまを売る露店が数多く立ち並びます。そこで毎年家族の人数分のだるまを買い求め、神棚に供えて、毎朝家族一人一人の健康と安全を祈りました。そのため、神棚に複数並べやすい、握りこぶし程度の小ぶりなサイズになっています。
戦後、後継者不足から一時廃絶してしまいましたが、その後、保存会が立ち上がり、現在まで製作が続いています。地元の名産であるタコをモチーフにした「たこだるま」もすっかり定着して人気となっています。
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写真上/たこだるま880円(うきしろロビー観光案内所☎0848・67・5877)。写真中/三原だるま(中サイズ)1,300円。写真下/たこだるまは、ピンクと赤の2色、三原だるまは小と中の2サイズ。
掲載:BRUTUS#862 (2018年2月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。