厄除面 みやげもんコレクション292 BRUTUS No.887
みやげもんコレクション 292厄除面
石川県/小松市
文 / 川端正吾
義経・弁慶の「勧進帳」にまつわる面。
古くから北陸道を往来する人々が必ず訪れたという、小松市安宅町(あたかまち)の安宅住吉(あたかすみよし)神社。安宅は、源義経が兄の頼朝に追われ奥州へ逃走中、関の関守に疑われながらも、様々な機転を利かせて無事通り過ぎた、という有名な逸話が残っている場所。「勧進帳(かんじんちょう)」として歌舞伎十八番にもなっている有名なお話です。山伏(やまぶし)に扮した弁慶が疑われ「勧進帳を読んでみせよ」と詰め寄られるも、持っていた白紙の巻物を勧進帳であるかのように堂々と読み上げてみたり、随行者に扮していた義経が疑われた際は、弁慶が主君の義経を金剛杖(こんごうづえ)で打ちつけたり、と、果敢に危機を乗り越えていきます。途中、関守である富樫左衛門は、義経と弁慶であることを見破りますが、その主従愛に打たれ、最終的には関所を通すのです。この富樫家が奉納したとされる翁面が安宅住吉神社に奉納されており、関所でのエピソードから、厄除けや難関突破の御利益があると信じられています。
安宅住吉神社では正月に限り、御祈祷を受けた方にこの厄除面を模した面を授与します。神棚や床の間に飾り、厄を吸い取るほど顔が黒ずんでくるのだとか。
写真上/厄除面(安宅住吉神社☎0761・22・88 96)。毎年1月1日〜15日に授与される。写真中/安宅住吉神社の本殿。写真下/鎌倉時代から伝わる富樫家奉納の翁面。
掲載:BRUTUS#887 (2019年3月1号)
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