きねこさのお守り みやげもんコレクション297 BRUTUS No.892
みやげもんコレクション 297きねこさのお守り
愛知県/名古屋市
文 / 川端正吾
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三大奇祭の一つで授与される厄払いのお守り。
名古屋市中村区にある七所社では、毎年旧暦の1月17日に「尾張三大奇祭(おわりさんだいきさい)」の一つに数えられる『きねこさ祭』が行われます。天下泰平や五穀豊穣を願って行われるお祭りです。まず12名の役者と呼ばれる男性たちが長い竹竿を持ち、極寒の中、川の中へと入っていき、竹を立てます。そこへ一人が登ると、その体重で竹は折れてしまいます。その折れた方角によって、一年の吉凶を占うのです。ちなみに今年は南南東の方角へ倒れ、「吉」と出ました。その後、本殿前にて、役者たちが祭具(さいぐ)を持って参拝客に触れ、厄払いを行います。「きねこさ」とは、餅をつく「杵」と、臼からそぎとった餅「こさ」のことで、これを象(かたど)った祭具が使われていることから、この名前になったといわれています。
きねこさ祭の日には、この日にしか授与されない特別なお守りも販売されます。桐の粉を「杵」と「こさ」の形に生麩糊(しょうふのり)で固めて、胡粉(ごふん)と食紅で彩色したもので、一つ一つ神職の方が手作りされています。子供の健やかな成長を祈るお守りとされ、幼児が寝る枕元に飾ると夜泣きが収まるといわれています。
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写真上/きねこさのお守り1,000円(七所社☎052・412・3671)。笹に結ばれた状態で授与される。写真中/川祭りの様子。写真下/厄払いの様子。祭具が参拝客に触れると厄払いとなる。
掲載:BRUTUS#892 (2019年5月15号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。