爬竜船 みやげもんコレクション340 BRUTUS No.935
みやげもんコレクション 340爬竜船
沖縄県/那覇市
文 / 川端正吾
初夏の風物詩、爬竜船競漕の木彫り玩具。
毎年、旧暦の5月になると、沖縄各地の漁港では「ハーリー」と呼ばれる、爬竜船を使ってその速さを競うお祭りが行われます。爬竜船とは、船の舳先(へさき)に竜の頭、艫(とも)には尾の装飾が取り付けられた船のこと。この爬竜船で競い合うことで、豊漁や航海の安全を祈ります。中でも、那覇のハーリーは盛大に行われ、テレビで生中継されるほどの風物詩となっています。
沖縄ではこの爬竜船の木製玩具が、古くから子供たちに親しまれていました。時代とともに、新しい玩具に取って代わられてしまいましたが、沖縄の廃絶玩具の復元に努めていた〈琉球玩具製作所 こくら〉の古倉保文氏(故人)が復元し、現在に伝えられています。船は3色あり、青色が那覇、黒が泊、黄色が久米の船をそれぞれ模しています。この色には意味があり、那覇の青は「大和」を、泊の黒は「琉球」、久米の黄色は「唐」を表しているのだとか。〈琉球玩具製作所 こくら〉では、「琉球張子」と呼ばれる張り子玩具を主に製作していますが、こうした木彫り玩具のほか、土人形も手がけており、様々な琉球玩具の継承に努めています。
写真上/爬竜船(那覇)。7,500円(琉球玩具製作所 こくら ryukyuhariko@gmail.com)。写真中/モーヤー ブトゥキと呼ばれる伝統舞踊の張り子人形。写真下/唐獅子の張り子人形。
掲載:BRUTUS#935 (2021年4月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。