みやげもんコレクション 194 逆鉾九面
鹿児島/霧島市
文 / 川端正吾
何事も工面してくれる9つの面。
鹿児島県霧島市の霧島神宮には、今から約300年前に、石工として名を馳せた海老原源左衛門が奉納した、古い9つの面があります。この面に祈願すれば、何事にも“工面(九面)”がつくといわれており、特に商人たちからの厚い信仰を集め、屋号や商品名などに多く使われています。この九面を象った縁起物が、こちらの「逆鉾九面」。霧島神宮の御祭神である瓊瓊杵尊が高千穂の峯に突き立てた天逆鉾にちなみ、逆鉾に九面があしらわれています。鉾は魔除けの力を持っており、二重にありがたい御守りに。18の眼差しが一斉に向かってくる迫力は、なかなかのもの。写真では小さな飾りに見えますが、実は20cm程度あり、かなりの存在感です。
このほか、面が個別に御守りになった「九面守」もあります。それぞれに交通安全、学業成就、出世開運などの御利益があり、9つすべて揃えると満願成就となる、というもの。面の表情がどれもユニークで、こちらもコレクション心をくすぐります。そのほか、焼き物でできた大ぶりな「霧島面」など様々にあり、面にまつわる授与品には事欠かない霧島神宮なのでした。
写真大/逆鉾九面。1,200円。写真上/島津家21代当主・島津氏によって寄進された現在の本殿。写真下/九面それぞれ個々にあしらった九面守。各700円。●霧島神宮☎0995・57・0001。
掲載:BRUTUS#789 (2014年11月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。