みやげもんコレクション 220 源九郎神社の狐
奈良県/大和郡山市
文 / 川端正吾
数々の狐伝説を持つやまとの源九郎さんがふたたび蘇る。
奈良県大和郡山市の源九郎稲荷神社は、様々な“狐伝説”が伝わる神社。「源九郎」の名前は、歌舞伎の演目『義経千本桜』に出てくる白狐が由来です。白狐の両親の皮で作られた鼓(つづみ)を義経の恋人・静御前が持っていたことから、義経の家来に化けて静御前に寄り添い、静御前と鼓を頼朝の追手から守り通します。義経はその忠義に応え、自分の名前である「源九郎」を白狐に与えました。源九郎狐は、神社の御祭神である宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)の使いとなり、祀られています。
実はこの神社、数年前に宮司の方が亡くなって以来、後を継ぐ方がおらず、荒れていました。それを見かねた地域の方々が、ボランティアで少しずつ修繕を重ねているところなのです。まだ宮司も兼務の状況ですが、授与品などを作って資金を集めながら、再生を進めています。写真上はその一つである狐の土鈴。ボランティアの方が手作りしているもので、デコボコとした風合いが愛らしく、ふたたび生まれ変わろうとする源九郎稲荷神社の新しい名物となりそう。これから末永く地域で愛され、時を経て新たな郷土玩具となる日が来るかもしれません。
写真上/白狐の土鈴1,000円(源九郎稲荷神社☎0743・55・3830)。写真中/春季大祭にて子供たちが着ける白狐面。写真下/現在、地元のボランティアスタッフの手により再生中の神社本殿。
掲載:BRUTUS#815 (2015年1月1・15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。