みやげもんコレクション 227 藁人形土鈴
大阪府/南河内郡
文 / 川端正吾
楠木正成公の見事な奇策にまつわる藁人形の土鈴。
南北朝時代、建武の新政の立役者として活躍した楠木正成公。彼は、少数の兵力で金剛山麓の赤坂城や千早城に籠城(ろうじょう)し、鎌倉幕府の大軍を迎え撃ちました。その際、城兵の身代わりとして、藁人形に甲冑(かっちゅう)を付けて敵をあざむいたり、突撃してきた敵に巨石や熱湯などを投げ落として見事に撃退した、という逸話が残っています。また、この藁人形へ矢を撃たせることで、それを集めて矢を補充し、敵に射返したのだとか。そんな正成公が氏神としたのが大阪唯一の村、千早赤阪村にある建水分(たけみくまり)神社。昭和10(1935)年の正成公没後600年祭にて、この藁人形の逸話にちなんだ「藁人形土鈴」が作られ、除災招福の縁起物として授与されました。藁人形がモチーフとなった土鈴はとても珍しかったために大変な人気となりましたが、その後、長らく製作されることはありませんでした。そこで、2008年、建水分神社御創祀2100年祭を記念して、この土鈴を復刻。オリジナルは約6cmでしたが、復刻版ではひとまわり大きな7.5cmとなり、正成公の知恵にあやかれる縁起物として、再び人気を集めています。
写真上/藁人形土鈴。1,000円(建水分神社☎0721・72・0534)。写真中/神社本殿(非公開)は、正成公により、水越川のほとりから現在の山上に移された。写真下/大阪府内最大級の石造の狛犬と鳥居。
掲載:BRUTUS#822 (2016年5月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。