のろま人形 みやげもんコレクション 255 BRUTUS No.850
みやげもんコレクション 255のろま人形
新潟県/佐渡市
文 / 川端正吾
佐渡に伝わる伝統的な人形芝居の首人形。
新潟県の佐渡では、金山で賑わっていた江戸中期頃より、人形芝居が盛んに行われていました。「文弥人形」「説経人形」「のろま人形」の3つの人形芝居があり、これらはいずれも国の重要無形民俗文化財に指定されています。中でも、のろま人形は、古い佐渡の方言による軽妙な掛け合いが魅力の喜劇で、民衆の娯楽として大変な人気を集めたそうです。
登場人物は、正直者だけどもまぬけな木の助、お人好しの下の長者、男好きのお花、欲張りでずる賢い仏師、の4人。この4つの人形首は、佐渡に残る古浄瑠璃の首の中でも特に歴史的価値の高いもので、滑稽なキャラクターを表情豊かに表現しています。一説によると愚鈍を意味する「のろま」という言葉は、こののろま人形が語源となっているとも言われています。
そんなのろま人形を模した首人形の玩具は、江戸時代から存在しており、佐渡を代表する土産物として人気を博していました。一時は製作が中断してしまいましたが、近年復活。現在は地元の体験学習の一環としても、のろま人形作り体験は人気のプログラムとなっています。
写真上/のろま人形(4体セット。商品は台座付き)1,350円(ふれあいハウス潮津の里☎0259・55・3311)。写真中/江戸期より伝わるのろま人形のオリジナル。写真下/文弥人形が上演される様子。
掲載:BRUTUS#850 (2017年7月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。