夫婦せきれい みやげもんコレクション 275 BRUTUS No.870
みやげもんコレクション 275夫婦せきれい
福岡県/直方市
文 / 川端正吾
国造りを手助けした夫婦円満の鳥。
長寿の神、そして鎮魂、厄除けの神としても知られている福岡の多賀(たが)神社。国造りを行った伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の夫婦神を祀(まつ)っています。日本書紀にはこんな一節があります。
「遂に合交(みあは)せむとす。而(しか)も其の術(みち)を知らず。時に鶺鴒(にはくなぶり)有りて、飛び来りて其の首尾(かしらお)を揺(うごか)す。二の神、見(みそなは)して学(なら)ひて、即ち交(とつぎ)の道を得つ」
二柱(ふたはしら)が夫婦の交合を行おうとした際、そのやり方がわからず困っていると、2羽の鶺鴒(せきれい)が飛んできて、首と尾を振りました。二柱はこの鶺鴒の動作を見て交合のやり方を学習した、という話です。これにより日本列島や天照大神(あまてらすおおかみ)などの神々が生まれました。この鶺鴒は多賀神社では神紋となっており、神話にまつわる授与品もあります。それがこちらの「夫婦せきれい」の土鈴。八百万(やおよろず)の神々を産んだ夫婦神にあやかり、夫婦円満の縁起物として授与されています。また伊邪那岐大神が黄泉の国から逃れる際、古来霊力が強いと信じられている桃の実を追手に投げつけて逃げ切った、という話にちなんだ「桃(もも)の子(み)」もあり、神話由来の素敵な授与品が充実しています。
写真上/夫婦せきれい。雌雄つがいとなっている。1,000円(多賀神社☎0949・22・0125)。写真中/桃の子1,000円。伊邪那岐大神が投げた桃がモチーフとなった土鈴。写真下/二柱が祀られる本殿。
掲載:BRUTUS#870 (2018年6月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。