香取神宮の狛犬 みやげもんコレクション287 BRUTUS No.882
みやげもんコレクション 287香取神宮の狛犬
千葉県/香取市
文 / 川端正吾
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瀬戸の古窯で焼かれた中世の狛犬がモチーフに。
全国に400社以上ある香取神社の総本社である千葉県・香取神宮。こちらの有名な宝物としてまず名前があがるのが、国宝・海獣葡萄鏡(かいじゅうぶどうきょう 写真中)。白銅質の円鏡に、葡萄唐草文、獅子、麒麟(麒麟)、鳳凰などがあしらわれた、中国唐代の工芸品。正倉院、四国大山祇(おおやまづみ)神社の神鏡と並び「日本三銘鏡」とされています。
そんな国宝に勝るとも劣らない、魅力的な宝物がもう一つあります。それが、鎌倉時代後期から室町時代初期に、瀬戸の古窯で焼かれたといわれる古瀬戸狛犬(こせとこまいぬ 写真下)です。スリムな体躯と、ユーモラスな表情。そして、どこかエキゾティックな雰囲気がある狛犬で、阿(あ)像は17.6cm、吽(うん)像は17.9cmと小柄ですが、野趣に溢れた姿をしています。陶製の狛犬でここまで古いものは国内でもほかに数例しかなく、国の重要文化財に指定されています。
この古瀬戸狛犬を模して縮小したものが授与所にて頒布されています。狛犬は、社殿前に置かれて厄災を退散させてくれる守護神であることから、家内安全の縁起物として神棚などに祀(まつ)られています。
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写真上/狛犬1,000円(香取神宮☎0478・57・3211)。写真中/国宝の海獣葡萄鏡。工芸品としては千葉県で唯一の国宝。写真下/重要文化財の古瀬戸狛犬。阿像は切手のデザインにもなっている。
掲載:BRUTUS#882 (2018年12月1日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。