スミンチョ みやげもんコレクション301 BRUTUS No.896
みやげもんコレクション 301スミンチョ
静岡県/伊豆の国市
文 / 川端正吾
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台所の火元を守ってくれる火伏せのお守り。
伊豆の国市の韮山(にらやま)地域にある竈(かまど)神社は、通称「荒神(こうじん)さん」とも呼ばれ、地元では火伏(ひぶ)せの神様として親しまれています。毎年1月28日・29日の祭礼日には、多くの参拝者が、火伏せのお守りである「スミンチョ」を求めてやってきます。
スミンチョとは、1㎝四方程度の木片に、紙のコヨリが通してあるお守り。四方には奥津姫命(おきつひめのみこと)の名前が1文字ずつ印字されています。古くから日本では、家の様々な場所に神様がいると信じられており、竈の火を司(つかさど)るのが奥津姫命です。とても清潔好きな神様で、台所を不潔にすると激しく怒り、恐ろしい祟(たた)りをなす、とされることから「荒神」とも呼ばれています。神社の通称はこれに由来します。そんな奥津姫命にまつわるお守りであるスミンチョは、かつては囲炉裏(いろり)の自在鉤(じざいかぎ)に結びつけ、火伏せを願いました。今も台所のガスレンジなど、火を使う場所のそばに吊します。
また、参道の露店にも厄除けの名物があります。「糖(とう)だんご」と呼ばれる竹串の先に飴玉がついたお菓子で、こちらも地元の参拝客の定番みやげとして愛されています。
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写真上/スミンチョ。毎年1月28日・29日のみ授与。写真中/露店で売られる「糖だんご」。写真下/社務所で授与されるスミンチョ。印字される神様は数種ある。●竈神社/静岡県伊豆の国市南條1486。
掲載:BRUTUS#896 (2019年7月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。