黒い亀文鎮 みやげもんコレクション319 BRUTUS No.914
みやげもんコレクション 319黒い亀文鎮
大阪府/大阪市
文 / 川端正吾
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聖徳太子によって創建された四天王寺の霊水の守護。
大阪の天王寺区にある四天王寺は、推古天皇元年(593年)に建立(こんりゅう)されたといわれる、日本で最古の本格的な仏教寺院です。『日本書紀』によると、当時、物部守屋(もののべのもりや)と蘇我馬子(そがのうまこ)の合戦の際、崇仏派の蘇我氏についていた聖徳太子は、形勢の不利を打開するために、自ら四天王像を彫り、「この戦いに勝利したら、四天王を安置する寺院を建立し、この世のすべての人々を救済する」と誓願しました。そして、勝利の後、その誓いを果たすべく四天王寺を建立したと伝わっています。その伽藍(がらん)配置は「四天王寺式伽藍配置」と呼ばれ、南北に中門、五重塔、金堂、講堂を一直線に並べ、それを回廊が囲む、日本では最も古い建築様式の一つです。
そんな境内のほぼ中心には、涸れることのない霊水といわれる「白石玉出の水」をたたえる、亀井堂があります。この水で供養した経木を流すと極楽往生できるのだとか。そして、霊水は亀の形をした水盆に湧き出しており、これにちなんで作られたのが、「黒い亀文鎮」です。2022年に行われる聖徳太子1400年御聖忌のために作られた南部鉄器製の授与品です。
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写真上/黒い亀文鎮1,200円(四天王寺☎06・6771・0066)。写真中/聖徳太子は大工の始祖ともいわれ、大工道具で描かれた「番匠器名号」の幟(のぼり)もはためく。写真下/金剛力士像が祀(まつ)られる中門。
掲載:BRUTUS#914 (2020年4月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。