なぎ守り みやげもんコレクション320 BRUTUS No.915
みやげもんコレクション 320なぎ守り
和歌山県/新宮市
文 / 川端正吾
熊野詣の道中の安全を祈った御神木のお守り。
全国熊野神社総本宮として崇められている熊野速玉大社。
『日本書紀・神武天皇紀』にも記述がある神倉山の天ノ磐盾(あめのいわたて)に降臨した熊野の神々を、景行天皇58年、現在の社地に初めて真新しい宮を創建しお祀(まつ)りしたのが始まりと伝わっています。始まりを告げる「黎明の社」とも称され、新宮市という町の名の由来にもなっています。
境内には樹齢約1000年の御神木、梛(なぎ)の大樹が聳(そび)えます。なぎは凪(な)ぐ穏やかさに通じ、また、葉脈が切れにくいことから、参詣者は厳しい熊野詣の道中安全を願い、この梛の葉をお守りとしてきました。そんな梛は、いつしか人々が手を合わせることの絶えない「平和を祈る木」として信仰を集めるようになりました。昭和47(1972)年、本土復帰した沖縄には、500株ほどの神域の苗木が海を越えて運ばれて学舎などに植樹され、今も子供たちの成長を見守り続けています。
この梛の実を使ったお守りが「なぎまもり」。神職、巫女により手作りで奉製されています。家内安全、縁結び、交通・海上安全の御利益があるとされ、参拝者に愛されています。
写真上/なぎまもり600円(熊野速玉大社☎0735・22・2533)。写真中/境内に聳え立つ御神木の梛。写真下/なぎまもりと同じく、御神木の実を使った柱掛け人形「なぎ人形」。1,500円。
掲載:BRUTUS#915 (2020年5月15日号)
値段・問い合わせ先などは、発売当時のものです。